一人親方労災保険っていつからあったの?歴史と法律的根拠は? 

一人親方労災保険っていつ頃からあるのか?って聞かれることがあります。一人親方労災保険に初めてご加入なさる方は、こういう制度があること自体、初めて聞いたという人も少なくありません。

一人親方労災保険は国の制度ですから法律で運営されています。したがって一人親方労災保険の歴史というのは、法律の歴史ということになります。

実は、一人親方労災保険は、約50年前(現在2019年)からある、けっこう古い制度です。

初めて一人親方労災保険の制度ができたのは昭和40年

一人親方の労災保険は、労働者災害補償保険法(以下、労災保険法)の改正ということで誕生した制度になります。大元の労災保険法は、昭和22年4月に出来ていますから、18年後に法律が変わって労災保険に一人親方が組み込まれています。

もはや戦後ではない

経済白書(昭和31年)の有名なフレーズですが、その9年後に一人親方の労災保険はできました。

昭和40年、1965年と言えば日本の高度成長時代のまっただ中。日本中でインフラ整備が進み、建設業が重要な基幹産業だった時代です。最初の東京オリンピックを控えたこの時代、建設業では雇用されている人は少なく、建設の現場では圧倒的多数の一人親方が建設産業の担い手だったのです。

50年以上前のことですから、どんな時代なのかピンとくる人は少ないかも知れませんね。どんな時代だったのか、雰囲気が伝わる映像をリンクしておきます。

このような時代に、一人親方を保護するために労災保険法の改正で、一人親方の労災保険制度が出来ました。いわゆる特別加入制度です。

一人親方にもいろいろな業種がある

私ども埼玉労災一人親方部会では、建設業に従事する一人親方の団体となっていて、一人親方と言えば建設業みたいな感じですが、実は法律で規定されている一人親方は建設業に限りません。法律上は一人親方その他の自営業者という名称になって、建設業以外の職種も想定されています。具体的には、

自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業

建設の事業(土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業

林業の事業

医薬品の配置販売の事業

漁船による水産動植物の採捕の事業

再生利用の目的となる廃棄物等の収集、運搬、選別、解体等の事業

自動車運送や林業はともかく、置き薬の人まで「一人親方」だったのは意外です。

労働者とは

一人親方とは個人事業主であり、労働者ではない者を言います。したがって労働者の定義がしっかり理解できないと一人親方の定義がよく分からないことになってしまいます。この場合の「労働者」とは、法律上の定義のことです。

労働者の法律的根拠は労働基準法第9条に書かれています。

「この法律で『労働者』とは,職業の種類を問わず,事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で,賃金を支払われる者をいう。」

労働者性について

法律には、簡単にこのように書いてあるだけです。これだけでは法律を運用しているといろいろなケースが出てきて問題が発生してきたので、役所としては

昭和60年12月19日労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について

で労働者とは何かについて決めています。「労働者性」というくらいなので、もともと曖昧なところがあって、キッチリ法律で定義出来ていないような感じがします。実際、実務ではこの労働基準法研究会の報告で法律事務が運用されているのですから、ちょっと不思議な気がしますね。

この内容をざっくり説明すると、労働者性とは「指揮監督下の労働」と「労働の対価として賃金を受け取っていること」になります。

労働者性が問題になるとき

実際には、管理監督者の指揮命令下にあって実質的に労働者派遣又は労働者供給された労働者であるにもかかわらず、業務委託契約や請負契約で「一人親方」等の個人事業主にしていることを偽装請負と言います。なぜ偽装請負が行われているかというと、労働者を保護するための様々な法律や制度を免れることで、会社に有利な条件で労働者を使うことができるからです。

たとえば、雇用された社員なら社会保険に入る必要がありますが一人親方なら入る必要がなくなります。また、労働者なら労働基準法の保護がありますが、請負には適用されません。

自分が労働者か一人親方か自覚がない人が多い

建設業で働いている人には、ご自分が会社に雇用されている労働者なのか、下請けの一人親方なのか、よく自覚がないまま働いている人が多いように思われます。

自分では一人親方だと思っていても、就業規則みたいな決まりがあって、出退勤の時間や労働日が管理されて、仕事をする、しないの選択権がない人もいます。逆にその会社の社員だと思っていても、社会保険もなく労働基準法、労災保険の適用もないまま会社に従属している人もいます。

ご自分が労働者か一人親方なのか、きちんと理解していないと事故に遭ったり、病気になったりしたときに正当な補償が受けられない可能性があります。

労災保険特別加入団体について(法的根拠)

昭和40年の労災保険法の改正のときに、一人親方が加入する際の手続きについて通達で具体的に規定されています。

労働者災害補償保険法の一部を改正する法律第二条の規定の施行について 

(昭和四〇年一一月一日)(基発第一四五四号)(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

実は、建設業の一人親方団体については、これ以前から行政(旧労働省)に認められてきた経緯があるようですが、法的根拠がきちんと存在するのはここからのようです。

通達ってどういう意味?

役所の組織は概ねこんな感じです。

厚生労働省

地方労働局

労働基準監督署

上級官公庁から下部の役所への業務連絡のことを「通達」と言います。普通の会社でも、経営陣から各部署に業務連絡があるように、役所ではそれを通達と呼んでいるのです。

通達とは業務連絡ではありますが、役所と役所の間では拘束力があり下部の役所はそれに従って仕事をしなければなりません。よく通達行政という言葉を聞きますが、法律では、日常業務の細かいところまでは規定できないので、このような方法がとられます。

ただ、通達の解釈、実際の行政事務は下部の役所にも多少の裁量権があるので、同じ法律でも役所によって、また地方によって微妙に違いが出てしまいます。お役所仕事、ローカルルールなんてことの原因はこんなところにあるのかも知れません。

通達は法律ではありませんが、労災保険の実務では法律に準じて理解しておかないといけません。

労災保険は法律を理解して初めて可能な業務

労災保険、労災保険特別加入団体については、国の法律に基づき運営されています。したがって、その根拠になる法律を知らないと、加入者の権利を守れません。

しかしながら、多数ある労災保険特別加入団体の運営者責任者のほとんどは、そういう法的根拠を知らないまま、また勉強もしないで取り扱っているのが現状です。

もちろん、簡単なことは、役所の指導を受けたり聞いたりしたら出来ると思いますが、事案によっては複雑な法律問題になったりします。法律を知らず加入者の権利を守ることが出来ない団体がほとんどです。

埼玉労災は労災保険のプロが運営しています

ここまでお読みの方は、一人親方の労災保険は法律や通達で規定され、運営されていることをご理解いただけたことと思います。法律的な理解がないと労災保険特別加入団体は到底、きちんと運営するのは難しい業務となります。

埼玉労災一人親方部会では、このような労災保険、および関連法に精通した社会保険労務士が主催する団体です。労災保険のプロが運営するプロスペックの団体です。

民商や土建、商工会とはレベルが違うことを感じていただけたら幸いです。

一人親方労災保険の歴史と法律的根拠のまとめ

一人親方の労災保険の歴史と法律的根拠について詳しく説明してきました。この記事は、「一人親方の労災保険っていつ頃からあるんだろう?」って疑問に思った人に読んでい頂けたら納得されたことと思います。ネットで調べてもここまでわかりやすく書いてある資料はないはずです。一人親方労災保険、またそれを扱う労災保険特別加入団体、また事務の内容もすべて法律で規定されています。

したがって、このような労災保険法、関連法、通達を熟知していないと、一人親方労災保険のご加入者の権利を守ることができません。

埼玉労災一人親方部会は、このような高い労災保険の専門性を持った社会保険労務士が運営している団体です。

 

一人親方の労災の特別加入についてはこちらでも詳しく解説しています↓
一人親方労災 特別加入制度

一人親方の労災保険のご加入のお問い合わせはこちら

埼玉労災一人親方部会 https://www.saitama631.com/

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