会社から独立をして一人親方になるには、さまざまな手続きが必要です。
一人親方とは個人事業主の一種です。会社で働いていた場合には必要なかった手続きが、一人親方になるとたくさん必要です。
とはいっても、大変なのは最初だけ。
いったいどんな手続が必要で、岩手県ではいったいどこにいけばその手続きができるのかを説明していきます。
一人親方が税務署でやること
一人親方になったらまず行くべき場所は税務署です。
なぜなら開業届を提出しないといけないから。
正確には「個人事業の開廃業等届出書」というのですが、国税庁のホームページからダウンロードすることも出来ますし、税務署の窓口にも用意されています。
税務署に持参するものは以下の通り。
- 本人確認書類(免許証orマイナンバーカード)
- 印鑑
の2つがあれば問題ありません。
ちなみに開業届を提出する際には、屋号をつけることができます。
屋号はつけてもつけなくても良いのですが、屋号をつけるメリットがあります。それは屋号での銀行口座を作れることです。
個人の口座と事業の口座は分けていたほうが、なにかと便利です。例えば確定申告する際に、最新のアプリを利用すれば口座からデータを抜き取って、帳簿をつけることができます。
その時もし個人のお金のやりとりが口座履歴に混在していると、それらを手動で排除する操作が必要になってとても面倒です。
ですから最初からわけておくといいでしょう。そのために屋号を準備しておく必要があります。
そのほかに税務署で行うべきこと
開業届の提出以外にも税務署で行うべきことがいくつかあります。
何度も通うのは面倒なので、提出の必要がある場合は必ず開業届と同時に提出しておきましょう。
- 所得税の青色申告承認申請書
- 青色事業専従者給与に関する届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
以上の3つが税務署で提出ができます。
青色申告承認申請書とは、確定申告の種類を決めるもので青色申告を選ぶと、節税対策を行いやすくなります。もし青色申告でさらに家族に給料を出す場合(経費で出せるので節税になります)専従者給与に関する届出書も提出しておきましょう。
詳しくは
建設業一人親方の確定申告の方法!青色申告と白色申告の違いを解説!
を御覧ください。
そして源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請も出しておきましょう。源泉所得税という税金を年に何度か支払う義務があるのですが、何度も支払っていると手続きが大変です。
この手続を行っておけば、源泉徴収税の納付回数をへらすことが出来ます。金額は減りませんが、手続きがかなり楽になりますので必ず提出しておきましょう。
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岩手県の税務署
岩手県の税務署は以下の9ヶ所あります。
- 一関
- 大船渡
- 釜石
- 久慈
- 二戸
- 花巻
- 水沢
- 宮古
- 盛岡
住んでいる場所もしくは事務所の所在地によって、管轄の地域などがありますので、距離ではなく各管轄を確認した上で税務署まで出向くようにしてください。
詳しくは、国税庁のホームページの岩手県税務署所在地案内に掲載されています。
一人親方が市区町村の役所でやるべきこと
税務署の次に向かうのが市区町村の役所です。
ここでは以下の2つ書類を提出します。
- 個人事業開始申告書
- 国民健康保険
まず個人事業開始申告書は税務署での開業届と似ていますが、税務署では国税のために、役所では地方税の納税のために行います。
なお国民健康保険の手続きをしなければ病院で保険診療を受けることが出来ませんので必ず手続きを行うようにしてください。
一人親方が年金事務所でやるべきこと
次に必ず行くべき場所が年金事務所です。
会社員時代は厚生年金に加入しているのですが、一人親方になれば国民年金への切り替えが必要です。
切り替えをしないと将来年金がもらえなくなってしまうのでご注意ください。
岩手県の年金事務所の所在地は以下の通り。
- 一関
- 二戸
- 花巻
- 宮古
- 盛岡
これもお住まいや事務所の所在で管轄が変わりますので必ず確認した上で向かっていただくようお願いいたします。
労災保険の特別加入
最後に加入するのが労災保険です。
実は労災保険は必須ではありません。
あくまでも一人親方の労災保険は任意です。ただ任意であっても一人親方には労災保険に入るべき理由が2つあります。
1つ目は仕事中の怪我の補償のため。
建設業の一人親方は、現場に出るのが当たりまえ。その中で怪我をする可能性も低くない。場合によっては後遺症が残って仕事ができなくなったり、数週間怪我で仕事でできなくなる可能性もあります。
そういった時の治療費や休業補償も労災保険に加入していれば出ます。一人親方は自分の生活は自分で守る必要がありますので、労災保険には加入しておきましょう。
2つ目は大きな現場に入るためです。
大手ゼネコンの公共工事などの場合、末端の職人まで社会保険が管理されています。グリーンサイトや安全書類といったものですね。
そういった現場では労災に入っていなければ現場に入れないことになっていて、せっかく来た仕事を断ることに成りかねません。
ですから仕事をいただくという点でも、労災保険への加入は必須です。
一人親方が労災保険に加入するためには、一人親方部会へ相談を。岩手県にお住まいの方は東北労災一人親方部会に相談ください。
岩手県の一人親方
岩手県の人口は現在122,9万人で、全国と同じく減少傾向です。
ただし盛岡市ではななっく跡地に新複合商業施設がオープン予定となっています。
さらに周辺でも再開発が予定されており、岩手県はこれからも盛り上がっていくようです。
一関市にもいわいショッピングセンターNORTHがオープンしたばっかりですし、これからも数十年は心配いらないでしょう。
そして住宅のリフォームや新築はこれからもあり続けますし、インフラの公共事業も必ず存在します。
ですから岩手県の建設業で働いていても将来が不安ということはないでしょう。
岩手県の一人親方の年収は全国平均とほぼ同じ年収です。
国土交通省の出している公共工事労務費調査によると、日当あたりで全国平均が19,392円の所。岩手県は18900円です。
これは年齢や経験、そして都会や郊外のすべて含めた数字です。
年収を上げるのならば、都会に行けばある程度上る可能性もあがりますが、その分生活にかかる費用も大きくなるでしょう。
岩手県の労災事故事例
この災害は、木造3階建の建築工事現場で発生したものである。
災害発生当日の作業は、2日前に棟上げが終了した住宅の3階の梁と柱の接合部に取付ける火打(ひう)ち金具の取付けで、被災者は作業員3名(1名は他社の左官工)とともに、朝に社長から指示を受け午前8時頃から作業を開始した。
被災者は作業を開始。まず前日までに取付けを火打(ひう)ち金具のボルトの締め忘れがないかを確認するため、梁に掛け渡していた型枠パネルを取外して移動はしごを用いて順次点検を行った。
次いで3階の火打(ひう)ち材の取付けを行おうとしたが、ボルト締め穴(現場に搬入する前に梁にあけられた穴)の位置が異なっていたので、型枠パネルを取外して梁の上でボルト穴をあける前作業として墨出し作業を開始したが、そのときにバランスをくずして梁の間から約6.2m下の1階コンクリート床に墜落し死亡した。
まとめ
一人親方になれば、
- 税務署
- 年金事務所
- 各市町村役場
にて手続きを行う必要があります。忘れずに行うようにしましょう。
岩手県は太平洋側の中では人口も多く、観光事業やスキーなども盛んです。そういったお金が動く事業の近くの建設業にたずさわれば、年収は増えやすいでしょう。
そして労災保険への加入は任意ですので忘れがちです。自分の怪我の備えは自分で準備しなければいけません。必ず加入しておくようにしましょう。