損害保険
一人親方は上乗せ労災に入るべきか
一人親方にとって任意の上乗せ労災は必要なものではないと感じるかもしれません。なぜ労災にも特別加入しているのに、さらに上乗せで任意で保険に入るのか。
実際、一人親方労災保険に加入していれば一人親方が怪我の補償で困る事はありません。ただし上乗せ労災に加入していないと、困る一人親方はいます。
どういうパターンの人か知っておきましょう
 
 
賠償責任のために一人親方は加入しておくべき
一人親方でも、上乗せ労災に加入すべき理由が一つだけあって、それはごくまれにでも従業員を雇って仕事をする場合です。
従業員を雇うと従業員の怪我に対する責任が生まれます。
アルバイトであったとしても、どんな雇用契約であったとしてもこれは変わりません。
考えたくはありませんが、建設現場では人が亡くなる事はゼロではありません。もしあなたの会社で現場で人が亡くなった場合、その責任は基本的には労災保険でまかなえると考えられます。
ただし遺族が慰謝料を請求してきた場合は話が別です。
実際建設現場で人が亡くなり、遺族が元請けや雇用先に対して、安全配慮義務違反として、慰謝料を請求する事は過去にも多数存在しています。しかもこの金額は億単位。とても一人親方が払えるような金額ではありません。
この賠償責任を肩代わりしてくれるのが任意の上乗せ労災です。
言うなれば任意労災に入っていないのは、自動車保険に加入せず自動車を運転するようなもの。
自動車保険に加入せず、自賠責保険だけで車を運転する事は基本的に考えられないと思います。建設現場での労災事故では、同じ位の金額の賠償金が請求される可能性があるということ。これは命の賠償だからです。
実際に裁判所の判例でも数億円の賠償金額を支払った建設会社は1つや2つではありません。
このように建設業界で人を雇うということは、自動車を運転するのと同様のリスクを背負っているということになります。
ですから一人親方だとしても、人を雇うのであれば、任意労災に加入する必要があります。
 
 
大手ゼネコンの仕事では加入必須の場合もある
さらに大手ゼネコンの現場に入るために、任意労災への加入が必須の場合もあります。
原因は賠償責任です。
大手ゼネコンでは、たくさんの人が働いており、 たくさんの現場があります。そこで、もし人が亡くなると、元請けである大手ゼネコンにも責任が問われます。
もちろん雇っている会社の責任でもありますが、元請けは怪我がない現場を作る責任があります。
したがって一人親方が雇ったアルバイトが亡くなった際にも、元請けに責任が発生します。
基本的に亡くなった方の雇い主に対して責任が及びますか、もしその雇い主が賠償金を支払えなかった場合、その責任は元請けに来ることになっています。
元請けからすると、実は金額はそこまでの問題ではありません。支払えるからです。
しかし下請けが賠償金を支払えなかった場合は、責任は元請けに問われてニュースでも社名が載ります。
風評被害の方が大きいと言う事ですね。
ですから下請けが怪我をして裁判沙汰になったとき、元請けの責任まで問われないように、下請けで解決ができるような会社だけ選ぶようになりました。
このためには任意労災へ加入している必要があります。
実際に大手4社では下請けに対して任意労災の加入を義務づけています。
ですから一人親方や小さな会社が大手ゼネコンの現場に入ろうとした場合、任意労災に加入する必要が出てくることもあるでしょう。
 
 
怪我の補償は100%労災保険で受けられる
ここまでは任意労災に加入すべき理由を述べてきました。
ここからは加入しなくても良い場合についてお話をします。
上記の2つの理由、従業員を雇う、大手ゼネコンの下請けに入る。と言う事をしなければ基本的には加入する必要はありません。
というのも怪我の保障は100%労災保険の特別加入をしておけばそこで補償がされます。
休業補償も満足のいく額が補償されます。
ですから自分の怪我のために任意労災に加入する必要は全くありません。
労災保険の特別加入をしておけば、仕事中の怪我に対して全ての医療費が労災保険から支払われます。
 
 
法人でも個人事業主でも保険料は全額経費に出来る
上乗せ労災保険は、損保ジャパン等の民間保険商品です。保険商品としては損害保険になります。従って、支払う保険料は事業のために使った経費として全額損金算入が可能です。
保険商品が、生命保険だとするといろいろ制約がありますが、損害保険会社の商品は基本的には経費として全額損金に計上できます。ですから、結果的に保険料を支払っても負担感は少ないと言えます。
保険料はどうなっていのか
それでは、上乗せ労災保険の保険料はどのようになっているのか説明します。
基本的には、直近の会計年度の売上高、業種によって保険料が決まります。保険料に業種が関係するのは、職種ごとの危険性や事故率が関係していると考えられます。
 
 
商工会議所が便利
このように上乗せ労災保険には、一定の役割があり、また特別加入労災保険に加入したからのお問い合わせもありますが、埼玉労災一人親方部会では、現場の賠償責任保険である民間損害保険会社の保険商品のご案内をしておりますが、上乗せ労災保険については取り扱いをしていません。
お近くの商工会議所、商工会にお問い合わせください。団体割引等が適用になることも多いので、保険会社、また保険代理店と直接契約するよりは若干、保険料が割安になることがあるようです。
 
 
一人親方労災保険の代わりにはならない
ここまで、上乗せ労災保険について説明してきました。一人親方の中には、特に若い方に多いのですが、このような民間保険商品に加入しているので特別加入労災保険に入らなくてもいいと思っている方もいます。
しかし、これはとんでもない思い違いなので、特に強く警告しておきます。
上乗せ労災保険の給付は、事故が労災であって、労災の認定がされて、政府労災の給付があることを前提にしたものです。
特別労災保険でないと現場に入れない
政府の労災保険は、ケガの治療費だけでなく、休業補償、障がいが残ったときの補償、そして死亡してしまったときの遺族年金と本人、そして家族にとっての生涯補償となっています。もし、あなたが労災事故で死亡したら、遺族が一生を終えるまでお金を支払うことになっています。
とても民間の保険会社の保険商品で代用することは不可能です。
このような理由から、元請けは、下請けに対し労災保険に加入することを要求しているのです。
 
 
まとめ
一人親方の任意労災について書きました。
基本的に一人親方は怪我の補償のためだけであれば、任意労災に加入する必要はありません。
なぜなら怪我の補償は労災保険がやってくれるからです。特別加入をしておけば問題はないでしょう。
ただし従業員を雇う場合や、ゼネコンの現場に入る場合は、任意の上乗せ労災が必須となります。
任意の上乗せ労災保険は、支払う保険料は、全額経費扱いに出来ます。
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