今回は源泉徴収税についてお話します。
自分では一人親方(個人事業主)だと思っていても、発注側の元請けが外注契約ではなく雇用契約として処理している場合があります。
特に1日単価、例えば15,000円とかで元請けと、発注書や契約書を作らずに曖昧な約束をしていると、元請け側で勝手に給料扱いにされていることがあります。そして給料扱いにされると源泉徴収税が引かれてしまいます。
こういう元請けの仕事をすると、請求書を作る際に、源泉徴収税を引くと思うのですが、なぜこんなにお金が引かれるのか。疑問に思ったことはありませんか?
実はあれ、損しているわけではないので、安心してください。
その源泉徴収税についてのお話です。
源泉徴収税ってなに?
源泉徴収税っていうのは所得税の前払いです。
所得税も支払っているのに、なぜ収入からさらに引かれてしまうのか。
まずは請求した金額全部くれよと思っているかもしれません。しかし実際には年度末の確定申告の際に、計算された所得税に充填されるものです。
例えば年間の所得税が100万円だった場合に源泉徴収税が30万円だったとすえば、確定申告時に支払う所得税は70万円です。
このように本来3月の確定申告後に支払うべき所得が、事前に支払うというシステムのものです。
でも請求書で引くだけだけど・・・
と思っている人は多いかもしれません。
これは実は請求先の企業があなたの変わりに支払いを行ってくれています。
源泉徴収税は請求書から引いて請求する
取引先から源泉徴収税を引いて請求してください。
と言われたら、その通りに引くようにしましょう。
消費税抜きの請求金額から10.21%を引いておくだけ。
結構な金額を引くことになりますが、どちらにしろ納税すべき金額だったと思って我慢しましょう。
源泉徴収税の仕組み
源泉徴収税の仕組みをもう少し詳しく説明します。
なぜ請求から10.21%も引かれなきゃいけないのか。支払っているわけではないんです
あなたが受け取るべき報酬の中から、納税するであろう金額を取引先に預かってもらう仕組みのことです。
もともと支払いをうけるべき金額の中から、10.21%を支払いをせずに取引先においておくことで、この金額は取引先からあなたの代わりに納税をされる仕組みです。
源泉徴収税の狙い
なぜこんなややこしいことをするのかというと、国がお金の動きを把握して納税をごまかせないようにするためです。
例えばあなたが収入を誤魔化そうとしても、源泉徴収したあなたの取引先があなたの会社から納税を受けとているため、どのくらいの収入があるのかがバレてしまっています。
ということは、あなたが確定申告を誤魔化したとしても、他の企業からの源泉徴収された納税でバレてしまうわけです。
逆もしかりで、あなたが正直に納税していれば、取引先の会社が誤魔化していれば、税務署は取引先が誤魔化していると分かってしまうのです。
このように確実に国民から納税を間違いなく刈り取ろうとするために作られた税制と言えるでしょう。
源泉徴収税はごまかせない
とりあえず一旦現金が欲しいから、どうにか払わないようにしたいと思ったとしてもそれはできません。
支払うしか方法はないようです。
ただしごく稀に、源泉徴収税を引かずに請求してくる企業もいます。
これはおそらくなにかしら現金のやりとりで誤魔化している企業、もしくはわかっていないという場合もあります。
その場合も焦る必要はなく、ただ確定申告時に納税するだけなので、問題はありません。
源泉徴収税は還付される場合もある
元請けが一人親方の報酬を給与扱いにしてしまった場合、年度末に「源泉徴収票」が発行されます。
確定申告時に、営業利益の他に給与所得が発生している形になります。この場合、営業利益と給与所得を合算して、源泉徴収票を添付(2020年から添付不要)して申告します。この金額から経費を差し引いて、諸々の控除額を引いて税額がなくなると源泉徴収された金額が後日、指定した一人親方様の銀行口座に還付されます。
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